2008-01-01から1年間の記事一覧

ふたりのロッテ

エーリヒ・ケストナーは大好きな作家です。 私はあまり作家では読まないのですが(その作家の物なら何でも良いという訳じゃない)、やはり好きな作家はあります。 何で今まで紹介しなかったかというと、翻訳の問題があります。 一時あまり見かけなくなって、…

リーシーの物語

ホラーはちょっと苦手です。 別に嫌いというわけでも、怖くて読めないというわけでもないのですが、読んでみようという気にならない。 だからスティーブン・キングの名はよく聞くけど、あまり読んでません。 もう、スピルバーグと混ざるくらい…って、ちっと…

山嶽党奇談

前にご紹介した、鞍馬天狗「角兵衛獅子」 の続編で、やはり少年倶楽部に連載された物。 勤王と佐幕の戦いで血なまぐさい京の町に、この度は、主義主張に関係なく金さえ貰えば暗殺を請け負うという、山嶽党なる秘密結社が現れます。 鞍馬天狗にも誘いをかけて…

のぼうの城 ~ 新しいヒーロー像登場?

戦国物も一時期よく読んでたことがあります。 最近は遠ざかってたけど、ちょっと切り口のちがうものが出て来だしたようです。 その一つがこれです。 秀吉の北条攻めの折、北条方の城の一つ武州・忍(おし)城の攻防を巡る物語。 忍城は現在の埼玉県行田市に…

龍使いのキアス

作者は中央アジアを舞台にした伝奇歴史シリーズを書いていますが、これは独立したファンタジー。 舞台もちょっとアジア風だけど、無国籍な架空のロール世界。 様々な文化と宗教を持つ民族が住むアギオン帝国は、およそ350年前、侵略者を退けた神皇帝アグ…

鹿男あをによし

ちょっと前、テレビドラマ化されていた物。 私はドラマは見てませんが、題名が記憶に残ってました。 一読して、これも漱石の「坊ちゃん」のバリエーションだなと分かります。 語り口が似てるし、(おそらく)東京から地方の高校(ただし女子校)に赴任した若…

「ドリトル先生」シリーズ

これも子どもの頃、大好きだったもの。 動物の言葉が話せるという設定が、とっても魅力的でした。 主人公は19世紀イギリスの田舎町「沼の上のパドルビー」に住むお医者さん、ドリトル先生。 元は人間の医者だったのが、動物好きが高じて家中動物だらけにな…

チーム・バチスタの栄光

「このミステリーがすごい!」大賞、映画化など前から名前は聞いていたのですが、たまたま眼について昨日読み終えたら、明日からテレビドラマ放映とのこと。 私にしては珍しくタイムリーなので、ミステリーあまり取り上げないのですが、今回は書いておきます…

150cmライフ。 ~ 身に覚え有り

私、実は余り身長がありません(アバターはあくまでイメージですので、あしからず)。 だから、この本にはとっても親近感を覚えました。 シンプルな脱力系イラスト&エッセイで描く、小柄ライフの不便なこと嫌なこと、ちょっぴりお得なこと(?) 電車に関す…

鞍馬天狗読本

先の鞍馬天狗傑作選とセットの解説書。 これは今年の1~3月(年度は平成19年度)開催された大佛次郎記念館特別展(横浜市)の図録として編集された物だそうです。 傑作選と同じ村上豊氏の表紙絵(本はやや大きめ)。 「傑作選」では天狗の面を着けている…

鞍馬天狗~「角兵衛獅子」

以前、NHKドラマ化をご紹介した「鞍馬天狗」。 現在は小学館文庫「鞍馬天狗」全5巻(2000年)と文藝春秋「鞍馬天狗傑作選」全3巻(2007年)があることを知りました。 ドラマにはまった方もいまいちと思った方も、原作を覗いてみませんか? これ…

吾輩は猫である

「坊ちゃん」を取り上げたから、やっぱりこれも書いておきましょう。 漱石先生のデビュー作(?)。 私はどっちかというと「坊ちゃん」よりこちらの方が好き。 それに去る9月13日はモデルとなった漱石の飼い猫の100年目の命日だったそうです。 内容は…

日本語ぽこりぽこり

著者は1967年、米国ミシガン州生まれの詩人。 日本語で詩を書くというから驚き。 題名からも、そんな日本語に堪能な外国人の日本語や日本に関するエッセイと思ったら、ちょっと違うかな? 一部はそういう話もあるのですが、もっと範囲が広い。 それにし…

モチモチの木

もう古典的名作と言っていい、斉藤隆介、滝平次郎コンビの切り絵絵本。 中でも一番好きなのが、「モチモチの木」です。 「花さき山」より教訓臭が少ないのが良いと思っています。 峠の猟師小屋に、じ(爺)さまと二人きりで暮らす豆太は臆病な甘えん坊。 5…

青空文庫

http://www.aozora.gr.jp/ ご存じの方も多いと思いますが、著作権の切れた(または使用許可を得た)文学作品を、ネットで無料公開する青空文庫。 図書館大好き人間の私には、諸手を挙げて賛成したいプロジェクトです。 出来ればリンクしたいと前から試みてい…

坊ちゃん

長らく看板だけの「日本近代文学」。 日本の近代文学といえば、私にとっては夏目漱石。 漱石といえば、まず取り上げたいのは「坊っちゃん」か「吾輩は猫である」。 書きやすいのはこちらなので、「坊っちゃん」から。 テキストも多数あって、どれを参照にす…

ルガルバンダ王子の冒険

5000年以上前の古代メソポタミアのお話しを元にした絵本。 古代メソポタミア、シュメール文明については、まだ分かっていないことも多く、ちょっと馴染みが薄いです。 内容はよく知りませんが、「ギルガメシュ叙事詩」の名は聞いたことがあります。 その…

書けない理由

長いこと書いてなくて済みません。 理由なんて別に無いです。 ただのサボりで(^^;) 書いてなくても本を読んでいないことはありません。 私が読まないというのは、食事をしない、息をしないのと同じことで… 実はシリーズもののミステリーあれこれ読んでいまし…

ピーターと影泥棒

以前紹介したピーターパンの前日譚「ピーターと星の守護団」 http://blogs.yahoo.co.jp/myrte2005/27475746.html の続編。 「流星砂」の力で空飛ぶ永遠の少年となったピーターは、ネバーランドとなった島で、これもフック船長となった海賊黒ひげとおなじみの…

「世界征服」は可能か? ~ 「気ままに読書日記」は悪のブログか?

「ところで、このガーゴイルって秘密結社は、なんで世界征服なんかしたいんでしょうね?」 「そんな面倒なことせずに、高度な科学力で自分らだけ楽しい暮らしすればいいのに…」 何気なく手に取って開いた冒頭の言葉に、思わず、 「ほんと、何でだろ?」 即、…

とべたら本こ

この前紹介した「ノンちゃん雲に乗る」と、私の中で何となく「対」になっているお話しです。 「ノンちゃんー」を取り上げてこちらに触れないと、どうも落ち着かない気分なので、続けて紹介します。 「対」というのは対照的ということ。 戦後の子どもを描いて…

ノンちゃん雲に乗る

先日101歳で亡くなられた児童文学者の石井桃子さん。 名実共に日本の児童文学の第1人者であり、良心であった方です。 翻訳の作品は以前にも取り上げていましたが(http://blogs.yahoo.co.jp/myrte2005/8798575.html http://blogs.yahoo.co.jp/myrte2005/…

グリフィンの年

以前紹介した「ダークホルムの闇の君」の続編に当たる魔法ファンタジー。 http://blogs.yahoo.co.jp/myrte2005/18714342.html 前作から8年。 チェズニー巡礼観光会からは解放されたものの、魔法世界はまだ復興途上。 本当に戦争状態になってしまった国々も…

魔術

名作を絵本に仕立てるというのはよくあります。 宮沢賢治や新美南吉といった人たちの童話は絵本にしやすいだろうと思います。 この作品は、必ずしも子ども向けでない芥川龍之介の短編を絵本にした物ですが、浪漫的な内容と絵の雰囲気が合った見ごたえのある…

影の王

作者スーザン・クーパーはシリーズ物の児童ファンタジーで知られていますが、これは独立した作品。 タイムスリップ物です。 主人公ナット(ネイサン)・フィールドはアメリカの少年劇団の俳優。 シェイクスピア時代から400年ぶりに再建されたグローブ座で…

「図書館戦争」シリーズ

アニメ化予定(らしい)の話題の人気シリーズ。 公序良俗に反する表現を取り締まる「メディア良化法」が施行される近未来(パラレルワールド?)。 メディア良化機関が武力を持って恣意的に表現・出版の検閲、取り締まりを行っている。 この国家機関に対し、…

デルトラクエスト ~ デルトラの伝説

前に紹介した「デルトラクエスト」シリーズの番外編。 http://blogs.yahoo.co.jp/myrte2005/25854401.html 本編で部分的に触れられる「デルトラ年鑑」記載の伝説や、「デルトラのベルト」の作成者である初代国王アディンの冒険と業績を、王室図書館員ジョセ…

日本人はなぜ狐を信仰するのか

だいぶ長く書いていませんでしたが、その間も本は読んでいて、書きたい物も溜まっています。 その最新の物、昨日読み終えたのがこれ。 著者の松村潔さんは、本の紹介では西欧神秘哲学研究家となっているけど、占星学つまり星占いでよく名前を聞く方です。 フ…

カレンダーボーイ

ノスタルジック タイムトラベル小説と帯にあるように、タイムスリップと郷愁の(?)昭和ものの組み合わせ。 目新しいのは、タイムスリップしてもしばらく行きっぱなしじゃなくて1日毎に過去(1968年)と現代(2006年)を行き来することと、当事者…

ジョコンダ夫人の肖像

先日、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」のモデルに関する新資料のニュースが流れ、前から気になっていた、この本を読んでみました。 「クローディアの秘密」の作者カニグズバーグが「モナリザ」制作の背景を、ダ・ヴィンチの徒弟サライの視点で描いた…