2010-01-01から1年間の記事一覧

風の歌を聴け

なんだか黒い表紙が続いちゃったので、カラフルなやつを、という理由だけで選んだ村上春樹のデビュー作。 読んだのは数ヶ月前のこと。 朝刊の地方欄に、本作の始めの方に出てくる公園(動物園ではない)の元・猿の檻が取り壊されるという記事が出ていました…

滝山コミューン 1974

少し前の新聞記事に取り上げられているのを見て、興味を持った本です。 著者の小学校時代の経験に基づいたノンフィクションのようで、序章は著者が30年ぶりに舞台となった東京都東久留米市の滝山団地を訪ねるところから始まりますが、そこに 「私が小学6…

天地明察

主人公とテーマの面白さが際立つ作品です。 江戸時代、800年ぶりの改暦を実行した渋川春海の物語。 渋川春海とその改暦事業についても、歴史教科書に1行ぐらい書いてあった気がするのですが、それがこんなにも長い年月をかけ大勢の関わった大事業とは、…

獣の奏者 Ⅲ・Ⅳ

以前紹介したファンタジーに続編が出ていました。 続編があるのなら、前に批判した点は取り消さなければと思ったのですが、完結編の後書きによると、「…〈闘蛇編〉〈王獣編〉で完結した物語でした。」と有ります。 それが佐藤多佳子さんという作家が、「もっ…

宇宙戦争

ウェルズといえばこれ、いやSFといえばこれ、という決定版。 「火星人襲来」といえば誰もが知っているでしょう。 パニック物の原型といえます。 でも実際に読んだ人は意外と少ないかも。 私も今まで読んでいませんでした。 タコのような火星人のイメージは…

モロー博士の島

最近は読むの少なくなったけど、子どもの頃はSFもよく読んでいました。 子ども向きに書き直された古典的なものが多かったけど、当時は作者のことなど気にしてなかったので、ヴェルヌとウェルズの区別も付いてませんでした。 今思い起こすと、ヴェルヌの方…

「床下の小人たち」シリーズ

前々から紹介したいと思っていたシリーズですが、この夏ジブリのアニメが公開予定で、違うイメージで定着してしまうと書き難くなるので…(それで書きそびれた物、かなりあります)。鉛筆よりも小さいけれど人間そのままの小人たちが、人間の家に住み着いて借…

出星前夜

寡作ながら重厚な歴史小説を送り出す飯嶋和一さんが、島原の乱を題材にした大佛次郎賞受賞作。 以前紹介した「黄金旅風」に、時代も場所も続いています。 続編というわけではないのですが、前作の主人公、長崎(外町)代官・末次平左衛門も登場しています。 …

松本清張の「遺言」 『神々の乱心』を読み解く

昨年が生誕100年でますます注目されている国民的大作家、松本清張。 何となく推理小説は読むけど書かないーみたいなスタンスになっちゃってるので(はっきり決めた訳じゃないんですが)、今まで取り上げたことないですが、実は清張物も結構読んでます。 …

鞍馬天狗とは何者かー大佛次郎の戦中と戦後

以前にも取り上げた国民的時代劇ヒーロー「鞍馬天狗」。 題名を見るとそのモデル探しかと思われるのですが、そうではなくて、作者大佛次郎の評伝、それも戦中戦後の思想と言動を中心とした物。 「はじめに」で著者は「大佛が軍国主義に対して批判的であった…