ノンフィクション

ホームレス歌人のいた冬

前にも書いたように、私は短歌や俳句はあまりよく分かりません。 でも毛嫌いしているわけではないので、新聞の歌壇など何気なく覗くことはあります。 そして我が家は恥ずかしながら朝日新聞なので、本書で取り上げられたホームレス歌人・公田耕一氏のことは…

ダルタニャンの生涯ー史実の『三銃士』ー

ご存じ「三銃士」のダルタニャン。 https://myrtex.hatenablog.com/entry/21207559 以前ご紹介したように大好きなのですが、それが実在の人物だったという。これは読まねばなりません。まずは作者デュマが作品の序文で触れている「ダルタニャン氏の覚え書き…

困ってる人

以前から気になっていた、一部で話題の闘病記。 読んでみての感想は、なかなか複雑です。 著者自身が、検査のため一時入院した「ワンダーランド」と呼ぶ長期療養病棟で、眼にした実態に言葉をなくす心情に似通っているかも知れません。 しかし、著者は難病の…

三陸海岸大津波

長らくご無沙汰してます。 東日本の震災以来も、もちろん本は読んでいるけれど、心に響くことが少なくなった気がします。 事実は小説より奇なりとか。 生半なフィクションは圧倒的な事実の前に色褪せてしまうようです。 やはり事実の重みということで、ノン…

戦時児童文学論 小川未明、浜田広介、坪田穣治に沿って

「とべたら本こ」の作者山中恒さんは、ユーモラスな子ども読み物を書く一方で、戦時下の児童文化についての著作を意欲的に発表しておられます。 主著「ボクラ少国民」シリーズはまだ読めていないけれど、戦中の児童文学についてまとめた本著が昨年出版された…

それでも、日本人は「戦争」を選んだ

新聞で広告を見た時から読んでみたかった本です。 題名から「敗北を抱きしめて」(ジョン・ダワー著 岩波書店)の戦前版のような内容を予想していました。 読んでみて、その点は期待はずれでした。「高校生に語るー日本近現代史の最前線」と表紙にあるように…

滝山コミューン 1974

少し前の新聞記事に取り上げられているのを見て、興味を持った本です。 著者の小学校時代の経験に基づいたノンフィクションのようで、序章は著者が30年ぶりに舞台となった東京都東久留米市の滝山団地を訪ねるところから始まりますが、そこに 「私が小学6…

松本清張の「遺言」 『神々の乱心』を読み解く

昨年が生誕100年でますます注目されている国民的大作家、松本清張。 何となく推理小説は読むけど書かないーみたいなスタンスになっちゃってるので(はっきり決めた訳じゃないんですが)、今まで取り上げたことないですが、実は清張物も結構読んでます。 …

鞍馬天狗とは何者かー大佛次郎の戦中と戦後

以前にも取り上げた国民的時代劇ヒーロー「鞍馬天狗」。 題名を見るとそのモデル探しかと思われるのですが、そうではなくて、作者大佛次郎の評伝、それも戦中戦後の思想と言動を中心とした物。 「はじめに」で著者は「大佛が軍国主義に対して批判的であった…

食べ方上手だった日本人

本は買わずに借りるという私は、他の所でもかなりケチ。 だから1ヶ月の食費9000円という節約生活の権威、魚柄仁之助さんは密かに尊敬していて、彼の本もわりと読んでいます。 でも、それは実用書の扱いで、今までここで取り上げることはありませんでし…

インフルエンザ感染爆発 見えざる敵=ウイルスに挑む

子ども向けの本なのですが、新型インフルエンザ国内発症ということで、ノンフィクションに分類しておきます。 このシリーズは新感覚ノンフィクションと称して、写真や絵を多用して、視覚に訴えイメージを掴みやすくしているのが売りらしい。 本も薄く字も大…

高学歴ワーキングプア ー 「フリーター生産工場」としての大学院

いつの間にか「ワーキングプア」という言葉が定着しています。 朝から晩まで、毎日のように働いても生活にゆとりがない、いや、生活そのものが成り立たない。 それこそ昔なら考えられなかったことが、現代の日本社会を根底から揺さぶっています。 それでも、…

世界一あたたかい人生相談-幸せの人生レシピ

これまで紹介したような本ばかりでなく、料理・掃除などの家事、手工芸、園芸、芸術関係の趣味の本もいろいろ見ています。 でも、これらは読書というより全くの実用、つまり、本として読むのでなく、その中の1つ2つの記事を参考にするだけなので、今まで紹…

「ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本」とBFCシリーズ

数年前に話題になった物。 以前、小栗佐多里さんの英語学習体験記 で評価していたので、ちょっと読んでみました。 この本1冊で英語が分かるようになるということではなく、英語が分かるようになるためには、英語の本をたくさん読むのが一番、そのための手引…

150cmライフ。 ~ 身に覚え有り

私、実は余り身長がありません(アバターはあくまでイメージですので、あしからず)。 だから、この本にはとっても親近感を覚えました。 シンプルな脱力系イラスト&エッセイで描く、小柄ライフの不便なこと嫌なこと、ちょっぴりお得なこと(?) 電車に関す…

鞍馬天狗読本

先の鞍馬天狗傑作選とセットの解説書。 これは今年の1~3月(年度は平成19年度)開催された大佛次郎記念館特別展(横浜市)の図録として編集された物だそうです。 傑作選と同じ村上豊氏の表紙絵(本はやや大きめ)。 「傑作選」では天狗の面を着けている…

日本語ぽこりぽこり

著者は1967年、米国ミシガン州生まれの詩人。 日本語で詩を書くというから驚き。 題名からも、そんな日本語に堪能な外国人の日本語や日本に関するエッセイと思ったら、ちょっと違うかな? 一部はそういう話もあるのですが、もっと範囲が広い。 それにし…

「世界征服」は可能か? ~ 「気ままに読書日記」は悪のブログか?

「ところで、このガーゴイルって秘密結社は、なんで世界征服なんかしたいんでしょうね?」 「そんな面倒なことせずに、高度な科学力で自分らだけ楽しい暮らしすればいいのに…」 何気なく手に取って開いた冒頭の言葉に、思わず、 「ほんと、何でだろ?」 即、…

日本人はなぜ狐を信仰するのか

だいぶ長く書いていませんでしたが、その間も本は読んでいて、書きたい物も溜まっています。 その最新の物、昨日読み終えたのがこれ。 著者の松村潔さんは、本の紹介では西欧神秘哲学研究家となっているけど、占星学つまり星占いでよく名前を聞く方です。 フ…

明恵 夢を生きる ~ 心理学者が見る高僧の精神世界

7月に亡くなった心理学者、河合隼雄さんの代表的著作。 実はこの本、夫のもので家にあったのですが、いつか読もうと思ってそのままになっていました。 家にある(買った)本は、いつでも読めると思うのでつい後回しになってしまう。 借りた本は期限があるの…

英語が出来ない私をせめないで! ~ 英語学習あれこれ

小説、物語以外もいろいろ読んでるんですが、ノンフィクションで初めて取り上げるのは、「ダーリンは外国人」がヒットしたマンガ家、小栗佐多里さんの体験記。 ネイティブスピーカーのパートナーがいらっしゃるので、言葉を巡るすれ違いのあれこれ?と思った…