2007-01-01から1年間の記事一覧

たのしい川べ

以前取り上げた「川の光」の作者、松浦寿輝さんのインタビューを読みました。 その中に、着想のヒントとなった物として、この「たのしい川べ」が挙げられていました。 本文で触れた、「床下の小人たち」や「ガンバの冒険」の方が似ていると思うけど、そうい…

ピーターと星の守護団

表紙を見てなんだかピーター・パンぽいと思ったら、その通り、ピーター・パンの前日譚だそうです。 え? それってJ・M・バリーの原作があったじゃない? と思うのですが、こちらも読んでみるとそれなりに面白い。 いわば、ディズニー版ピーター・パンの前…

獣の奏者

「守人」シリーズで売り出した作者の新作。 「守人」シリーズは異界と隣り合わせにあるアジア的な世界を舞台にしていて、西洋の物まねでない独創性の高いファンタジーで私も好きなのですが、まだ完結編を読んでいないので、こちらが先になってしまいました。…

川の光

東京郊外の川辺に住むネズミの一家が、開発工事で住みかを失い、安住の地を求めて冒険の旅に出る物語。 読み始めてすぐ、「これはちょっと…」と思ってしまいました。 一家は母親を亡くして父親と兄弟の3匹なのですが、兄のタータは弟チッチより1歳年上、ネ…

陰陽師 「瘤取り晴明」

以前、長編を紹介した「陰陽師」。 これは絵本仕立ての中編ですが、このシリーズの魅力の1つを典型的に表しています。 このシリーズ、日本人なら誰でも知っている伝説、説話を下敷きにしたものが多いです。 それでいて、単なるパクリとは思わせない、 「な…

グレート・ギャツビー

昨年、村上春樹の新訳で話題になったもの。 図書館で見つけてすぐ手に取りました。 話題のものを何としてでも読みたいとは思わないけど、心のどこかに引っかかっているんですね。 舞台は1920年代始めのニューヨーク。 現代小説とするにはちょっと古いか…

デルトラ・クエスト

子ども達に人気のシリーズ。 ファンタジーより子どもの本、という見方もあるかも知れません。 1冊が薄く、大人が手に取るにはちょっと気恥ずかしい派手な表紙。 クイズをちりばめた内容もいかにも子ども向きで、「指輪物語」や「ハリーポッター」の読者には…

明恵 夢を生きる ~ 心理学者が見る高僧の精神世界

7月に亡くなった心理学者、河合隼雄さんの代表的著作。 実はこの本、夫のもので家にあったのですが、いつか読もうと思ってそのままになっていました。 家にある(買った)本は、いつでも読めると思うのでつい後回しになってしまう。 借りた本は期限があるの…

クローディアの秘密

いやぁ、クローディアやってくれますね! 家出先が美術館とは! これも大人になってから読んだのですが、子どもの時に読みたかったです。 そしたら、マネしたくて堪らなかったかな? 図書館、美術館、博物館、大好きですから。 でも、一人じゃとても無理です…

幽霊派遣会社

幽霊を派遣するって、一体? どんな幽霊をどこに派遣するんでしょう? 歯科医のウィルキンソン一家の事情を見てみましょう。 一家は第2次大戦中の空襲で幽霊になってしまいました。 ペットのセキセイインコまで一家揃ってーと、言いたいところですが、なぜ…

英語が出来ない私をせめないで! ~ 英語学習あれこれ

小説、物語以外もいろいろ読んでるんですが、ノンフィクションで初めて取り上げるのは、「ダーリンは外国人」がヒットしたマンガ家、小栗佐多里さんの体験記。 ネイティブスピーカーのパートナーがいらっしゃるので、言葉を巡るすれ違いのあれこれ?と思った…

ラビリンス ~ 時代を超える聖杯の秘密

イギリス女性アリスは、フランス南西部の山での発掘調査にボランティアとして参加していて、岩に塞がれていた洞窟を発見します。 洞窟の中は祭祀場の様で、奥の岩壁には迷路のような模様が刻まれ、2体の骸骨が横たわっています。 骸骨がはめていた指輪の裏…

ハリー・ポッター最終章 ~ 私の予想(続)

前回分をUPしてから改めて検索してみると、熱心なファンで随分細かく分析検証しておられる方達もいて、驚かされました。 本当に尊敬してしまいます。 最終章についての原作者のコメントもあげられていました。 書く前に読んでいたら、いい加減な思いつき的予…

ハリー・ポッター最終章 ~ 私の予想

7月21日に原作最終話発売予定で、期待が高まっている「ハリー・ポッター」。 私も今までのお話一応読んでいるので、あれこれ考えることはあります。 せっかくだから、この機会に書いておきます。 ただし、それほど熱心な読者じゃないので、何度も読み返す…

海駆ける騎士の伝説

日本でもおなじみのダイアナ・ウィン・ジョーンズのデビュー前の作品。 そう思ってみると、ジョーンズらしいオモチャ箱をひっくり返したような賑やかさはなく、いわば普通のファンタジーですが、習作とは思えない完成度です。 後書きによると6つの連作の最…

ダルタニャン物語 ~ ご存じ三銃士の世界

あ~、読んだ読んだぁ~っと、伸びをしたい気分。 ダルタニャン物語、全11冊読了しました。 ダルタニャン、子どもの頃大好きでした。 ご存じ三銃士との友情と冒険の物語。 まだ続きがあると知って、いつかは読みたいと思っていたものです。 おなじみの第一…

ライ麦畑でつかまえて

よく聞くけれど内容は知らないという物があります。 これもその1つでした。 少し前に村上春樹の新訳で話題になりましたが、私は以前の訳で読みました。 村上訳はまだ手に入りにくいというのもありますが、訳者があまり前面に出るのは好きじゃないんです。 …

トムは真夜中の庭で

ファンタジーか子どもの本かと考えましたが、非日常のファンタジーではあるけれど、この現実世界が舞台なので、子どもの本に入れました。 現代児童文学の名作です。 夏休みなのにトムは面白くありません。 弟のピーターがはしかにかかり、うつらない様におじ…

なかなか書けない

ブログ開設してかなり時間が経ってるのに、記事があまり増えません。 書きたい物はいろいろあるのですが。 殆ど図書館で借りているので手元にないというのが、書けない最大の原因です。 作中の人名、地名、細部の描写、作者名、出版社名、… 直接書くわけじゃ…

ヒストリアン

アムステルダムに住む16歳のアメリカ人少女が、父の書斎で、竜の絵だけを印刷し後は白紙という、不思議な古書を見つけます。 問われた父ポールが語り始める、本にまつわる奇妙ないきさつ。 何故か彼はその話を家ではせずに、仕事で出かけるヨーロッパ各地…

陰陽師 瀧夜叉姫

安部晴明が主人公の人気シリーズ。 大体読んでいるんですが、比較的新しい長編で紹介します。 魑魅魍魎や人間の業を扱って、おどろおどろしく残酷な描写もあるけれど、あまり抵抗なく読めて後味が悪くないのは、源博雅の存在とそのキャラクターによるところ…

ダークホルムの闇の君

アニメ「ハウルの動く城」の原作者として、日本でもよく知られるようになったダイアナ・ウィン・ジョーンズの長編。 ジョーンズの物を読んだ方はおわかりのように、設定がわかりにくく理屈っぽく感じる物もありますが、この作は比較的わかりやすく楽しめるで…

となり町戦争

平凡な日常と戦争の同居という奇抜な設定が気になって、手に取ってみました。 戦争が地方自治体の公共事業という設定で、お役所の仕事を皮肉に描いている所は理解できます。 途中にちりばめられた、この地上のどこかで戦争が起こっていることを知りながら無…

魂萌え

新聞連載、映画化で話題の小説。 還暦間近のヒロインの夫が定年後急死、愛人の存在が発覚して…、というとありがちな設定ですが、それを現代の問題に絡めて描いたことが話題となった要因でしょう。 問題の愛人が主人公より年上、というのがまず意表を突く所。…