子どもの本

エーミールと探偵たち ~ ケストナー初の子ども向け作品

ケストナーが初めて書いた子どもの本。彼の子どもに寄せる期待と信頼が、この最初から強く出ています。エーミールはドイツの地方都市ノイシュタットに、お母さんと二人で暮らす少年。 実業学校の生徒で、美容師として働くお母さんのために家事を受け持ち、時…

「世にも不幸なできごと」シリーズ

終に昨年完結したシリーズもの。 外国の作品て、次の巻が出るまで結構間が空くのが多いんですよね。 翻訳に時間が掛かるということでなくて、原作自体が。 これもちょっと間が空いたことがあったと思う。 そうすると前どんな話だったか思い出せなかったり…。…

ふたりのロッテ

エーリヒ・ケストナーは大好きな作家です。 私はあまり作家では読まないのですが(その作家の物なら何でも良いという訳じゃない)、やはり好きな作家はあります。 何で今まで紹介しなかったかというと、翻訳の問題があります。 一時あまり見かけなくなって、…

「ドリトル先生」シリーズ

これも子どもの頃、大好きだったもの。 動物の言葉が話せるという設定が、とっても魅力的でした。 主人公は19世紀イギリスの田舎町「沼の上のパドルビー」に住むお医者さん、ドリトル先生。 元は人間の医者だったのが、動物好きが高じて家中動物だらけにな…

モチモチの木

もう古典的名作と言っていい、斉藤隆介、滝平次郎コンビの切り絵絵本。 中でも一番好きなのが、「モチモチの木」です。 「花さき山」より教訓臭が少ないのが良いと思っています。 峠の猟師小屋に、じ(爺)さまと二人きりで暮らす豆太は臆病な甘えん坊。 5…

ルガルバンダ王子の冒険

5000年以上前の古代メソポタミアのお話しを元にした絵本。 古代メソポタミア、シュメール文明については、まだ分かっていないことも多く、ちょっと馴染みが薄いです。 内容はよく知りませんが、「ギルガメシュ叙事詩」の名は聞いたことがあります。 その…

とべたら本こ

この前紹介した「ノンちゃん雲に乗る」と、私の中で何となく「対」になっているお話しです。 「ノンちゃんー」を取り上げてこちらに触れないと、どうも落ち着かない気分なので、続けて紹介します。 「対」というのは対照的ということ。 戦後の子どもを描いて…

ノンちゃん雲に乗る

先日101歳で亡くなられた児童文学者の石井桃子さん。 名実共に日本の児童文学の第1人者であり、良心であった方です。 翻訳の作品は以前にも取り上げていましたが(http://blogs.yahoo.co.jp/myrte2005/8798575.html http://blogs.yahoo.co.jp/myrte2005/…

魔術

名作を絵本に仕立てるというのはよくあります。 宮沢賢治や新美南吉といった人たちの童話は絵本にしやすいだろうと思います。 この作品は、必ずしも子ども向けでない芥川龍之介の短編を絵本にした物ですが、浪漫的な内容と絵の雰囲気が合った見ごたえのある…

ジョコンダ夫人の肖像

先日、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」のモデルに関する新資料のニュースが流れ、前から気になっていた、この本を読んでみました。 「クローディアの秘密」の作者カニグズバーグが「モナリザ」制作の背景を、ダ・ヴィンチの徒弟サライの視点で描いた…

たのしい川べ

以前取り上げた「川の光」の作者、松浦寿輝さんのインタビューを読みました。 その中に、着想のヒントとなった物として、この「たのしい川べ」が挙げられていました。 本文で触れた、「床下の小人たち」や「ガンバの冒険」の方が似ていると思うけど、そうい…

川の光

東京郊外の川辺に住むネズミの一家が、開発工事で住みかを失い、安住の地を求めて冒険の旅に出る物語。 読み始めてすぐ、「これはちょっと…」と思ってしまいました。 一家は母親を亡くして父親と兄弟の3匹なのですが、兄のタータは弟チッチより1歳年上、ネ…

クローディアの秘密

いやぁ、クローディアやってくれますね! 家出先が美術館とは! これも大人になってから読んだのですが、子どもの時に読みたかったです。 そしたら、マネしたくて堪らなかったかな? 図書館、美術館、博物館、大好きですから。 でも、一人じゃとても無理です…

幽霊派遣会社

幽霊を派遣するって、一体? どんな幽霊をどこに派遣するんでしょう? 歯科医のウィルキンソン一家の事情を見てみましょう。 一家は第2次大戦中の空襲で幽霊になってしまいました。 ペットのセキセイインコまで一家揃ってーと、言いたいところですが、なぜ…

トムは真夜中の庭で

ファンタジーか子どもの本かと考えましたが、非日常のファンタジーではあるけれど、この現実世界が舞台なので、子どもの本に入れました。 現代児童文学の名作です。 夏休みなのにトムは面白くありません。 弟のピーターがはしかにかかり、うつらない様におじ…

百まいのきもの(ドレス) ~  いじめと芸術

いじめが話題になるとこの本を思い出します。 初めて読んだのは小学校低学年の頃で、当時は「いじめ」などという言葉もあまり使われていませんでした。 それでもいじめはずっと昔から、どんな場所でもあるのです。 この本の日本での初版は1954年だから、…

竜退治の騎士になる方法 ~ 竜退治の騎士が関西弁?!

竜退治の騎士が関西弁? というミスマッチに惹かれました。 6年生のぼく、康男と同級生の優樹(女の子)は、ある夕暮れ学校へ忘れ物のプリントを取りに行く。 二人は幼なじみだが、優樹の家庭の事情による変化から、いつの間にか疎遠になっていた。 その日…