チーム・バチスタの栄光

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このミステリーがすごい!」大賞、映画化など前から名前は聞いていたのですが、たまたま眼について昨日読み終えたら、明日からテレビドラマ放映とのこと。 私にしては珍しくタイムリーなので、ミステリーあまり取り上げないのですが、今回は書いておきます。

映画、テレビの宣伝で内容はご存じの方が多いでしょう。
東城大学医学部付属病院は心臓手術の権威、桐生恭一医師をアメリカから迎え、彼を中心とした7人のチームでバチスタ手術を行っている。 バチスタというのは創始者の名で、正式には「左心室縮小形成術」。 肥大した心臓の拡張変性部を切り取って小さく作り直すという難手術。 当然成功率も低いが、桐生のチーム・バチスタは100%の成功率を誇っていた。
ところが、立て続けに3例の術中死が起こる。 不運か、医療事故か、それとも悪意による殺人か?
高階病院長の特命を受けて、神経内科不定愁訴外来、通称愚痴外来の担当講師、田口公平が調査に着手する。 チームメンバーの聞き取り、手術観察を行う田口の目の前で再び術中死が起こり、さらに何故か厚労省の役人、白鳥圭輔が調査に参入。 果たして真相は…。

登場人物の人物像が面白い。 
田口医師も大学病院にはこんな人いないでしょ?という感じだけど、白鳥の変人ぶりは、まずあり得ない。 この2人に加えて、バチスタ・チームのメンバーを初め、病院長、教授、スタッフなども、いそうでいない適度にデフォルメされたキャラに描かれています。
そんな彼らが、前半の田口の調査と、後半の白鳥の挑発的な言動によって、違った面を見せるのが、この作品のもっとも面白いところ。
謎解き自体は、まあ、論理的に行けばそうなるでしょうねという感じです。 ただ、犯人の異常性を強調したいのか、その背景にある医療の問題点を示したいのか、ちょっと腰の定まらない印象はありました。

テレビドラマの方は新聞予告欄で見ると、毎度のことですが、主人公の2人が格好良すぎる。 特に田口先生役は若すぎる感じ。 ヌボーッと冴えないおじさんのイメージなんですが。 それで話が進むとだんだん人柄の良さが分かってくる、というのが良いんじゃないのかな。
白鳥圭輔は「イン・ザ・プール」の伊良部一郎医師が引き合いに出されていたけど、御同様の醜男、変人ぶりにさらにエキセントリックで攻撃的(もしかしたら演技かも知れませんが)。 伊良部先生役の阿部寛も格好良すぎたけど、この人、本作の映画でも白鳥役だったんですね。 変人・奇人役がはまる人だから、それなりに面白いでしょうが(私はどちらも見ていません)。 まあ、原作のイメージ通りの白鳥だと、テレビではものすごく不快かも知れません。
原作とは違う結末(犯人?)ということで、ちょっと気になりますが、私はテレビは見ないと思います。

チーム・バチスタの栄光」 海堂 尊作(宝島社)