ピーターと星の守護団

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表紙を見てなんだかピーター・パンぽいと思ったら、その通り、ピーター・パンの前日譚だそうです。
え? それってJ・M・バリーの原作があったじゃない? と思うのですが、こちらも読んでみるとそれなりに面白い。 いわば、ディズニー版ピーター・パンの前日譚というところです。

ピーター達5人の孤児は、孤児院を出て行き先も知らずに「ネバーランド号」というオンボロ貨客船に乗せられます。 実はランドゥーンという国のザーボフⅢ世という暴君に奴隷として貢ぎ物にされると知ってビックリ。 
この船の1等船客モリーはランドゥーンに向かうイギリス大使の娘で、モリー父子は強力な魔法の力を持つ流星砂を、悪用しようとする者達から守る星の守護団のメンバーだったのです。
モリーの父である大使はランドゥーンに送られる流星砂を追ってイギリス海軍の新鋭帆船に乗り込んでいたのですが、そちらは偽物で、本物はネバーランド号に載せられていたのでした。 
そのトランクの中身を知らないままに、凄いお宝と信じて奪おうとする海賊黒ひげの追撃と戦闘、嵐にあって島に流れ着き、原住民や人魚も巻き込んでのトランク争奪戦、といかにもアメリカン・ファンタジーらしい派手さと陽気さで楽しめます。
原作とは全く違うけれど、ピーターが歳を取らず飛べるようになる理由、ワニや妖精ティンカー・ベルの由来も一応納得のいく説明が付いています。

この作品は劇場版「ピーター・パン」公演100周年を記念して出版されたそうですが、このように新しい物が付け加わるのも、生命力のある作品ならでは、かも知れません。
 
けれど、ディズニー版や劇場版が有名な割に、元々の作品「ケンジントン公園のピーター・パン」を知る人が少ないのは、とても残念です。

なお、作者の一人は原作者と同姓のように見えますが、綴りは違っていて特に関係は無いようです。


「ピーターと星の守護団」 デイヴ・バリー、リドリー・ピアスン作 海後礼子訳(主婦の友社