クローディアの秘密

イメージ 1

いやぁ、クローディアやってくれますね! 家出先が美術館とは!

これも大人になってから読んだのですが、子どもの時に読みたかったです。
そしたら、マネしたくて堪らなかったかな? 図書館、美術館、博物館、大好きですから。
でも、一人じゃとても無理です。 クローディアも、しっかり者で小遣いを貯め込んでいる弟ジェイミーを仲間にしています。 私にも弟はいるけど頼りなくて私より貧乏だから、ジェイミーのような良い相棒にはなれません。
クローディアほどの計画性や人が殺されたベッドで寝る勇気もないから、やっぱり無理かなぁ。

家出先はニューヨークのメトロポリタン美術館。 大英博物館ルーブル美術館などと並んで一度は行ってみたい美術館です。 「大きくて、すばらしくて、その上無料。」 ああ、うらやましい。
クローディアとジェイミーが守衛さん達の目を盗んで着々と計画を実行する所はワクワクします。

そのうち二人は、小さな天使像が人々の人気を集めていることを知ります。
美術館が競売で安く落札した物だが、ミケランジェロの作品かも知れないと話題を呼んでいるのです。

ここまでの話、なんだか聞いたこと有るような…と思う方もいるかも知れません。
以前、NHK「みんなの歌」でやっていた「メトロポリタンミュージアム」(こんな題だったかな?)という歌は、この話を元にしてるんですね。 歌が好きだった人、読んでみて下さい。 「バイオリンのケース、トランペットのケース」の意味もわかりますよ。

歌と違ってお話しでは絵の中に閉じこめられたりしないで、二人は天使像の作者の謎解きに挑戦します。
そして終に、像を競売に出した富豪のフランクワイラー老夫人を訪ねていきます。

この最後の部分、老夫人とのやり取り、彼女が像を競売に出した理由に関しては、ちょっと納得出来ない物が残りました。
それは題名の「秘密」という言葉です。 フランクワイラー夫人の「秘密は安全だし、人をちがったものにするには大いに役立つのですよ。人の内側で力を持つわけね。」という言葉は、クローディアの成長に関しては理解出来ます。 けれど、クローディアが老夫人が像を競売に出した理由として、「その人が秘密をもってることをだれも知らないと、そのうちつまらなくなっちゃうからよ。… せめて秘密をもってるってことくらい、人に知られたくなるのね。」と説明するのは、解ったような解らないような、という感じです。
 
老夫人は調査研究する楽しみを知って欲しかったのだ、と説明しているのをどこかで見たことがあります。 でも、子ども達が謎解きをすることになったのは偶然ですし、夫人自身が学術的な研究にあまり好感を持っていない口ぶりなので、この説もどうかと思います。

フランクワイラー老夫人は作者の理想的人物なのでしょうか。 人の心を成長させるもの、人生で大切だと思う価値観に関して、作者と私との間でズレがあるのかな、と感じました。


「クローディアの秘密」 E.L.カニグズバーグ作 松永ふみ子訳(岩波少年文庫