ハリー・ポッターと死の秘宝 ~ 予想の結果

イメージ 1

ハリー・ポッター」最終巻、ようやく読みました。 内容を予想したのは原作発売前で、「結果は1年ほど後」と書いたけど、翻訳が出るのが遅かったのもあって、2年経ってしまいました。 我ながら悠長~。 
というわけで、ネタバレ御免で結果を検証させてもらいます。 未読の方はご注意!

予想内容は

① ハリーは一度死んでよみがえる?
② ダンブルドアはよみがえる?
③ スネイプは本当は味方?
④ もう一人死ぬのはスネイプ?
⑤ ヴォルデモードを倒すのはネビル・ロングボトム?
⑥ ペチュニア叔母さんはホグワーツで学んだことがあり、スネイプの元恋人?

というもの。

まず ① ハリーは一度死んでよみがえる?
うーん、ちょっと微妙ですね。 確かに1度はヴォルデモードに倒されるんですが、ホントは死んでない、仮死状態というところ? あの世とこの世の中間的な場所でダンブルドアと対話する。 そこから彼が望めば死後の世界に行くことも出来たようですが、半々というか、ちょっと厳しく40%の当たりとしておきましょう。
実はハリーもヴォルデモードの分霊箱(魂を分割して封じ込めたもの)の1つになっており、ヴォルデモードを完全に倒すためにはハリーも死ななければならない、という説はかなり広まっていたし、知っていたのですが、あえて無視していました。
ハリーが死なずに済んだのは、逆にヴォルデモードが復活する際にハリーの血を取り入れたから、ヴォルデモードが生きていればハリーも生き続けるとか。 この辺の説明はややこしいですね。

② ダンブルドアはよみがえる?
これはもう、完全に外れ。 死後の世界での仕事、なんてのも含めて。 ダンブルドアは分霊箱を隠した洞窟の毒の水を飲んで寿命を縮めたんですね。 その残りの命を有効利用するためにスネイプに自分を殺させた。

というわけで、③ スネイプは本当は味方? は当たりだけど、④ もう一人死ぬのはスネイプ?
 同様、当たったからといって別に自慢になりません。
たいていの読者には分かっていたと思います。
ただ、スネイプの死に方は気の毒でした。 「ハリーを護って…」と書いたけど、どうせなら、誰の目にも彼は本当は味方だったと分かる死に方をさせてあげたかった。 死後、記憶を覗かれるなんて嫌じゃないですか。 まあ、そうしなければ細かい点は分からないのですが。 

その記憶の内容とも関係しますが、⑥ ペチュニア叔母さんはホグワーツで学んだことがあり、スネイプの元恋人? は一応はずれですね。
一応、と未練がましく言うのは、微妙に合ってるところもありそうだから。 
スネイプが愛したのはハリーの母リリーだった、というのは見当が付くけど、二人がここまで幼なじみというのはちょっと反則っぽい。 ただ、スネイプはリリーを熱愛しているけど、リリーにとって彼はただの良いお友達という感じですが。 二人の離反の原因は予想通りだけど、これも誰しも見当が付くところ。
ペチュニア叔母さんの秘密というのは、魔法にあこがれて自分もホグワーツに行きたいとダンブルドアに手紙を書いたこと。
だからダンブルドアは叔母さんを子どもの頃から知ってたんですが、手紙が届くってことは、叔母さんにも才能あったのでは?
バーノン叔父さんのような人と結婚したのは、魔法を思い切るためかもしれませんね。

話の流れで最後に来るのが ⑤ ヴォルデモードを倒すのはネビル・ロングボトム? です。
ハリーが倒れた後、ネビルがグリフィンドールの剣で最後の分霊箱であるナギニ(蛇)を倒し、それをきっかけにハリーが再び立ってヴォルデモードを倒すことになるので、何分の1かは当たってそうです。
いや、当たりはずれなんてどうでもいい。 第1巻で登場した時から、ダメっ子だったネビルを密かに応援していたので、その成長ぶりをひたすら嬉しく思っています。 おばあ様もさぞご満足でしょう。
エピローグではホグワーツの先生になっているネビル、未来の校長も夢じゃない!

あと予想外のことといえば、この巻でダンブルドアの家族の問題や若き日の過ちなど、思いがけない過去が出てくること。
ハリーは戸惑い苦しみますが、このダンブルドアの過去は、スネイプの悲劇を補足するためのような気がします。
もしダンブルドアが何の間違いもない聖人君子であるならば、彼がスネイプに危険なスパイ行為をさせたのは、その弱味と後悔につけ込んで利用しただけの、かえって嫌な人になりかねません。 ダンブルドア自身が過去の過ちを乗り越えて立派な魔法使いになったのであれば、スネイプにも同じように試練を乗り越えて立派な魔法使いになることを期待していたと言えます。 スネイプに自分を殺させたのも、死の秘宝の1つである自分のニワトコの杖がスネイプの所有になるようにしておきたかったのでしょう。

結局、最終巻のテーマは、これも予測出来たことですが、「愛」ということでしょう。
ハリーを護る母の愛、これはこっそり叔母さんにも受け継がれているのでは? 
かつてダンブルドアはハリーが境遇のわりにはまともに育っており、ダドリーは両親にダメにされていると言っていました。 叔母さんがダドリーを甘やかすのは、叔父さんがハリーを(魔法の力を発揮した時など)怒った時に気をそらそうと、ことさらダドリーを褒めたりしていたのが、習い性になってしまったのかも知れません。 とすると、叔母さんは我が子を犠牲にしてハリーを護ったことになります。 ハリーがまともに育ったのは叔母さんの隠れた愛のおかげかも。 別れ際に叔母さんが言おうとしたのは、「私は魔法も、あなたのお母さんも、あなたも好きだったのよ」ということかも知れません。

ダドリーも別れ際に意外な友情を示しますし、マルフォイ家の人々も身勝手で変だけれど、愛情があれば結果オーライということかも知れません。
一番印象的なのはスネイプのリリーへの愛ですが、それに引き換えハリーの父ジェームスはいいとこ無しな感じです。 でも、それはあくまでも、スネイプの記憶の中の、スネイプ目線での見方であることは注意しておいた方がいいです。
シリウスがかつて仄めかしたように、リリーがジェームスと結婚したのは彼にいいところがあったからでしょう。 ハリーが死後の世界へ行って両親と語り合えば、そんな話も出るかと思ったのですが、結局それは全く無しで、その点がちょっと心残りです。


ハリー・ポッターと死の秘宝 上・下」 J.K.ローリング作 松岡祐子訳(静山社)